『Espiazione』(※2769小説注意※)

…と、いうことで。
サイトを作ろう作ろうと思いつつ作業が進まないので(爆)コチラのブログに一旦載せさせていただきます(^^;)

本当は、作品になぞらえて大晦日あたりにUPしたかったのですが…
現在我が家の人口密度がハンパなく(笑)静かにPC出来る環境というものが限られていたためこんなに時間が経ってしまいました…orz
兄弟が帰ってきてくれるのは嬉しいんですけどね!(T▽T)(笑)
自由に萌え萌え出来ないのはちょこっと不便です(笑)

さて。
ここから先は、家庭教師ヒットマンREBORN!という漫画の二次創作になります。
以前サイトに載せたそのままの原稿ですが…
自画自賛的で申し訳ありませんが結構気に入っているお話だったので。
季節的に良いだろうと思って、こちらに載せさせていただきました。

二次創作であること以上にハードルが高いことに、うっすらとBL臭が漂った内容となっております(笑)
これらのことが許せる方のみ、この先へお進み下さい。
閲覧は自己責任でお願いいたします(^^;)(笑)

















辿り着く世界の果てで
梵鐘が刻む贖罪を、君に








   『 Espiazione 』



















「どうぞ、召し上がれ」
「わぁ…ありがとうございます」




 和やかな会話が自分の右側で交わされるのを
 沢田綱吉は遠い目をしながら聞いていた。
 BGMは紅白歌合戦
 画面では盛大なフィナーレに向けて、歌手の皆さんが盛り上がっている。

 食卓には、年越しそばの鴨南蛮の良いニオイが満ちていて…
 いつもなら少し眠い目を擦りながら母さんと二人過ごしているハズの空間だ。

「おや。ボンゴレは鴨、お嫌いですか?」

 ランボの定位置からさも当然のようにコチラを覗き込むのは…

「あ。そろそろ大トリですよ!今年はサブちゃんじゃないんですね〜」
「母さんやっぱりSMAPが良いわ〜」
「あぁ…あの曲は名曲ですよね〜」



 ………アタマ痛くなってきた…。












* * *




 大掃除も何とか終わり。
 あとは大晦日をのんびり過ごして新年を向かえるのみ・状態の沢田家に招かれざる客が来たのは31日の午後。

 手伝いと称していつも通り暴れ騒いだランボ達が昼寝をしている時を、
 丁度見計らったかのように控えめに玄関のチャイムが鳴った。

「はいはーい」

 大晦日のこんな時に訪ねて来るなんて、急ぎの宅急便か何かだろうか。
 だがしかし、ドアの向こうに立っていたのは………




「お久しぶりです、ボンゴレ

 特徴的な髪型もそのままに、六道骸の笑顔がそこには在った。










「良く来たな。まぁ、上がれ」
「ありがとうございます。では早速お邪魔しますね」

 一瞬の内に様々なことを思い出しすぎて軽くパニックになっているツナを尻目に、居候である家庭教師に促され、パニックの素は丁寧に脱いだ靴を玄関に揃えている。
 

「ここまで早かったな。迷わなかったか?」
「えぇ。分かりやすい説明をいただいたおかげです」

 そうこうしている内に、二人の会話は更に進んでいく。
 ぇ………あの……………

「ちょ、、、、ちょっと待てよリボーン!!!!!!」

 …突っ込んだ先にはもう誰も居なかったりして…………。










「まずはキチンと説明してくれよ!どうして骸が並盛に…ってゆーか家に居るんだ!!!」


 キッチンから問いかける母さんに対しては不本意ながら
『と…友達が来ただけ!部屋に居るね!!』
 なんて答えてしまったけど。

 待て待て待て。
 友達って何だ。
 いやでもまさか

『単なる六道骸が来ただけです』

 ってのもナシだろう。

ボンゴレの霧の守護者が…』

 なんてのも言語道断だ。



「いやだから!何で骸がココに居るんだよ!?」

 復讐者の牢獄に居るのではないのか。
 光さえ届かない、最下層の………

 以前一度垣間見た光景を思い出し、暖かい部屋の中なのに寒気を感じて思わず肩を竦める。


「そんなもの…今は目の前にあるものが総て・ですよ。ボンゴレ

 瞳を伏せた骸は、自嘲気味に口の端を上げる。
 ベッドに悠々と座り、長い足を投げ出すその姿は確かに骸のものなのに…

「あ………クローム?」

 以前戦いで見せた幻術の一種が脳裏をよぎる。
 彼女の身体を借りているのだとしたら、簡単に納得の出来る事柄だ。 


「だからボンゴレ。そんな定義付け等、今は全く不要なんですよ」

 骸からは応とも否とも答えは無い。
 …そもそも答えるつもりも無いのだろうか。


「いいじゃねぇか。今ここには骸が居て、今日は大晦日で。…ただそれだけのことだ」

 座っていたベッドから飛び降りたリボーンは、ドアを明けて階下へ行ってしまう。
 



「……………」
ボンゴレは部屋にお餅、飾らないんですか?」

 興味深そうにキョロキョロと部屋を見回す骸に、何だか色んな気分が削がれてしまった。
 そしてお餅って何だろう………

「…もしかして鏡餅のこと?
 それだったら、普通は床の間とか居間…リビングに飾って、
 子供部屋には置かないんじゃないかな?」

「リビングに行けばあるんですね♪」


 …もしかして日本オタクなんだろうか………?
 何だかバジルくんと話をしているような気分になってきた。

「アルコバレーノが…」
「…ん?」

 立ち上がり、窓の外を眺めながらぽつりと呟く。

「『お前は日本の正月を体験するべきだな』と言うのでね。甘えさせて貰ったんです」
「…日本の正月ねぇ…」

 リボーンが何をさせたいのか分からないが。
 特に悪さをする気も無さそうな骸を、寒空の下追い返すのも気がひけた。


「ツッくーーーん!甘酒出来たわよ〜?」

 階下からの母さんの呼び声に、仕方なさを装いつつ骸を連れ立ってリビングへ向かう。
 今ここに獄寺くんが来ないことを切実に願いながら…。











「あぁ!これが『かがみもち』!!!!」

 母さんには、イタリア育ちで日本オタクな人だと説明してしまった。
 今は家族と離れて一人で暮らしていると言ったら
 『一人で年越しなんて可哀相じゃない!』
 と同情してしまったおかげで今夜は泊まることが確定してしまい…
 今では甘酒そっちのけで、お飾りの説明やら日本の風習話で二人して盛り上がっている。




 軽めの夕飯を済ませ。
 日本の大晦日といえばコレ!という母さんの提案により、
 紅白を見ながらコタツに入る六道骸を見る日が来ようとは思いもしなかったけれど。

 笑ったり、驚いたり…
 思えば、こんな普通の表情をする骸を見ることも、今までは無かったわけで。

(…本当は、普通の人・なんだな………)

 たしか自分より1つ年上だと聞いた。
 普通に生きて、生活していれば出逢うこともなかったんだろう。
 同情するなとリボーンには言われているけれど…それでも。



ボンゴレはモー娘。全員、顔と名前一致します?」


 ………だからといってこのはしゃぎっぷりはどうかと思うけど。










* * *




ゴーン…



 紅白も終わり、年越しそばも食べ終わった骸と…
 何故か近所のお寺に来ている不思議。

 小さいお寺だけど、境内は除夜の鐘を撞きに集まった人たちで賑わっていた。


『そうだ。近所のお寺の除夜の鐘…二人とも撞きに行って来たら?』



 そんな母さんの提案で、二人で並ぶ順番待ちの列。

『除夜の鐘っていうのはね、人間の煩悩の数と言われている108回鐘を撞くことでその煩悩・罪を取り除き、身を清めて新たな年を迎えましょうっていう日本の風習なのよ』



 出掛けに母さんがしてくれた除夜の鐘の説明がやけにアタマに残る。
 


ボンゴレは…」
「…?」

 重く鳴り響く鐘の音の合間に。
 どこか遠くを見ながら、骸はぽつりと話し出す。


ボンゴレは、本当に鐘を撞くだけで罪が消えるのだと信じているんですか?」

 鐘を撞くまであと数人。
 自分達が撞くのは、いったい何番目の鐘だろうか。

「そんなの…分かんないよ。
 消えるかもしれないし…また生まれるかもしれないし」

 煩悩・罪・欲なんて、際限のないものだ。
 欲しいCD、読みたいマンガ、やってみたいゲーム…それから、宿題なんてやりたくない・あの子ともっと仲良くなりたい・だとか。

「消える・消えないじゃなくて、そういう心がけのことを言っているんじゃないのかな」

 宿題で書かされる、書初めみたいなものだ。
 自分の手で形にすることで、決意を新たにするような…。

「この鐘を撞くことで、俺はまた新しい俺になる覚悟をする…そういうことじゃないのかな」

 前の人から渡された綱を持ち、心持ち強めに鐘木を揺らす。

ゴォ…ン……

 綱を手渡そうと振り返った先には…
 初めて見るような表情をした骸が居た。


ゴォ……ン………


 骸は見よう見真似で鐘を撞き、少し離れた石垣にもたれて待つ自分の隣へ、同じように背中をつける。


「こんな…たかが1度の鐘の音で…総ての罪が断たれると?」

 俯くその表情は、長い前髪に隠れて良く見えないけれど。

「1度じゃないだろ?
 俺だって撞いたし…今もまだ、知らない誰かが鐘を撞いている」



「………日本人は…お気楽ですね」

 確かに口唇の端は上がり、自嘲気味に笑っているのに…

(その眼が、泣いているように見えるなんて)




「日本人はお気楽だから…嫌なことをされても新年と同時にリセットしちゃうし、一人で年越しする可哀相な子は家に泊めてあげましょう・なんて言っちゃうし…」
「…!!」
「こんな風に泣いてるヤツには、優しくせずにはいられないんだよ!」


 残念ながら自分より随分と背の高い骸の、マフラーを強引にひっぱる。
 驚いて倒れこんでくるその特徴的な頭部を胸の位置に抱き込んで…


「今、最後の鐘が鳴ったよ」


ゴォ……ン…


「これで去年のお前の罪は、ここに居る皆が一緒に消してくれたんだ」

 だからお前は、皆のために新たな年を生きなきゃいけない。

「分かってんのか?バカ骸…」

 ランチアさんをランボのようだと思ったことがあったけど…
 意外と皆、同じようなものなのかもしれない。
 抱き込んだ骸の身体は大きいけれど、何だか頼りなくて。

「…本当に………日本人はお気楽で、お節介な人種ですね」

 その身体から、力が抜けていくのが伝わった。








* * *


 新年を祝う様々な挨拶が響く寺を後にし、俺達は微妙な距離を明けたまま家路を急いでいた。




「それにしても…日本人って、意外と大胆なことをするんですね」

 もっとオクユカシイのだと思ってました…いやボンゴレの手が早いだけですか?
 なんて囃し立てる男の頭頂部の毛を、とりあえず全部むしってやりたい。

「煩いな!お前そんなこと言ってるとランボの隣に布団敷くぞ!?」

 いやむしろ廊下でも良い。


「そうしたら、ママンにボンゴレの所業の数々を言いつけてあげますよ」
「何だよ所業って!!!」
「いや…まさかあんな強引な手で来るとは僕も思っていなかったですから…」
「頬を染めるな!!手を添えるな!!!」
「おやおや。泣き顔の方がお好みですか?」
「好みとかって意味わかんないから!!!!」



 閑静な住宅街に、2人の声がこだまする。

『許されないものはない』

 リボーンもまた、それを骸に伝えたかったのかもしれない。
 たとれそれが、朝日とともに消えてしまうような幻覚だとしても…

 きっと彼には届いているのだろうから。







         -fine-<こっそり言い訳!笑>

原作では、リング戦のあと10年後編に行ってるんですが…
10年後編はカウントせずにお正月を迎えさせちゃいました!
(すみません!)
1年に1度のことなので…
捏造万歳☆ということでお許し下さい(^^;)